AI および HPC データセンター
フォールトトレラントソリューション
内蔵メモリ
IoT 普及に伴い、セキュリティリスクも増大しています。IoT にはどのようなリスクが潜んでいますか?IoT への攻撃を受けた場合に発生する可能性のあるリスク、実際のセキュリティリスクの例、具体的なセキュリティ対策について学びます。
多くの人の利便性を向上させ、多くの産業を発展させたと言われるIoT。しかし、その利便性の裏には重大なセキュリティリスクが潜んでいます。リスクの中身を明らかにし、どういった対策を取ることができるのかをご紹介します。
IoTとは、Internet of Thingsの略称で、日本語では「モノのインターネット」と訳されています。具体的には、家電や車、エアコンなどさまざまなデバイスがインターネットに接続され、データのやり取りを行えるようにしたものです。
たとえば、どこの家庭にもある冷蔵庫。今までは食品を冷やし保管する、単品で完結する家電として使われていました。しかし、これがIoTと結びつくことでスマート家電になります。スマート家電となった冷蔵庫は、インターネットに接続され外部とのつながりを持つことになります。これまで家の中だけで完結していたものが、家の外とも関わりを持つようになるのです。
同様に、ものづくりの現場で使われていた機器についてもIoTにより大きな変化が訪れています。これまで現場のみで使うものという感覚だったものが、あらゆる場所と接続する可能性を持つようになっています。
IoTによって家電や産業機器の利便性は大きく向上しました。その一方で、外部との関わりを持つということは外部からの攻撃の対象になり得ることを意味します。IoTの普及した現代には、利便性とセキュリティリスクが常に背中合わせで存在しているのです。
IoTについての詳細はこちらの記事をご覧ください。
産業分野のIoT活用とは? 事例を交えて活用のポイントを解説|Stratus Blog
IoTシステムにセキュリティが求められる背景はいくつか考えられますが、総務省の「IoT セキュリティガイドライン ver.1.0」では「IoT 特有の性質とセキュリティ対策の必要性(1.1.2)」として次の6点を挙げています。
では、IoTには具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。IoTに潜むリスクは、次の3つのパターンに分けて考えられます。
残念ながら、「リスクがある」というだけではなく、IoT機器を狙った攻撃は実際に起こっています。具体例を見てみましょう。
インターネットに接続するインターネットルータや、ネットワークカメラ、デジタルビデオレコーダーなどの組み込み製品が攻撃の標的にされる事例が増えています。その攻撃手段として使われるのが、「Mirai」と呼ばれるマルウェアです。「Mirai」はこれらのIoT機器の脆弱性を狙って攻撃し、botをダウンロードさせることで遠隔操作を可能にします。
「Mirai」の被害が拡大した背景には、2つの要因がありました。
「Mirai」は次々と亜種が作られ、被害拡大は衰えを見せていません。IDとパスワードの重要性を認識し、メーカーとユーザー双方が常にセキュリティ意識を持つことがマルウェアの攻撃を防ぐ第一歩として大切です。
IoT製品が乗っ取られ、外部への攻撃に利用されるのが踏み台攻撃です。この乗っ取りの手段として使われるのは、マルウェア「Mirai」や、Bluetoothの脆弱性として発見された「BlueBorne」と呼ばれるセキュリティホールです。
踏み台攻撃の代表例としては、DDoS攻撃が知られています。乗っ取られた機器から標的となるサーバーに対し大量の処理要求を送ることで、サーバーの処理能力をパンクさせサービスを停止させてしまう攻撃です。
またこのほかにも、迷惑メールの配信が行われたり、情報漏えいを狙った操作がされたりしたケースもあります。日本では2012年に発生したパソコン遠隔操作事件が有名で、他者のPCを遠隔操作し犯罪予告が行われたことは多くの人に踏み台攻撃の恐怖を印象づけました。
こうした踏み台攻撃の本当の怖さは、踏み台にされた機器の所有者が、踏み台にされたことに気づかないケースが多いことです。知らないうちに攻撃の加担者になっていたという可能性は、すぐそばにあるのです。
インターネットからアクセスでき、無防備な状態にあるWebカメラによって映し出される映像を見ることができるサイトが存在します。こういった映像から、多くの情報が漏洩しています。
多くのWebカメラについて、ネットワーク接続のためのIDやパスワードが工場出荷状態のままになっていることにより、簡単にアクセスされ映像が流れてしまっています。その中には施設内の防犯カメラや工場内の監視カメラも含まれています。
こういった映像の流出が悪用されると、企業の重用な情報も漏洩する可能性があります。
ではこういったIoTのセキュリティリスクに対し、どのような対策をとればいいのでしょうか。
ランサムウェアによる攻撃は、ウイルス対策を行うことである程度、回避は可能です。しかし、IoTで最も気を付けなければならないのは、IoT機器の管理でしょう。IoTはさまざまなデバイス、機器が存在するため、しっかりと管理しないと紛失、盗難などが起こりやすく、セキュリティリスクも非常に高くなります。そこで、重要となるのが、IoTの性質を改めて認識することです。
IoTのセキュリティリスクに対策するためには、経営者層や管理者層がIoTの性質について再認識しておかなければなりません。重要となるのは次の5つの性質です。
では、それらのリスクに対して具体的な対策としてはどのような方法があるでしょうか。
外部からの攻撃を防ぐためには、外部との通信を遮断するのがもっとも有効ですが、それではIoTの有用性と逆行してしまいます。そこで、ネットワークを限定し、必要なときに必要なところとのみ通信を行うシステム構成が必要となります。
通信経路の棚卸しを行い、ネットワーク構成を可視化できる仕組みを作っておきましょう。また、標的になりやすいtelnetの開放ポートは放置しない、接続の必要がないIoT機器は遮断するなどの措置を取ります。
また、現場側で処理を行うエッジコンピューティングの導入も、ネットワークの限定によるセキュリティ対策として有効です。
多くのマルウェアはIDやパスワードの総当たり攻撃により侵入を試みます。その対策としては、デフォルトのIDやパスワードをそのまま使用し続けることは避け、変更した解読されにくいものを使用しましょう。
突破されにくいIDとパスワードを使用することがセキュリティ対策の第一歩であり、最大の防御策でもあります。
IoTに対する攻撃の手段は進化し続け、常にセキュリティホールも探され続けています。これに対抗するには、IoTを運用するアプリケーションのファームウェアが最新の状態で保たれていなければなりません。
製造元が不明瞭であったり、サポート対応が怪しかったりするような機器の使用は避けましょう。その機器に悪意はなくても、攻撃されやすい脆弱性のもととなる可能性があります。また、使っていない、あるいは通信の必要はないIoT機能を備えた機器は電源を切る、またはネットワークへの接続を遮断しておくようにしましょう。
IoTでのデータ収集・分析の作業をスマートフォンやタブレットのように常に携帯するデバイスで行う場合もあります。そこで、紛失・盗難のリスクを避けるため、社員へのセキュリティ教育の徹底は欠かせません。システムでのセキュリティ対策と同時に社員教育も実施しましょう。
IoTの普及により、製造業は第4次産業革命と言われるほど革新的な発展を遂げています。その一方で、あらゆる機器がインターネットにつながることによりセキュリティリスクが増大しているのも事実です。IoTを有効に活用していくためには、セキュリティに対する意識と対策も不可欠のものなのです。
Penguinのチームは、高性能で可用性の高いHPCおよびAI エンタープライズソリューションの設計、構築、導入、管理を行い、お客様が画期的なイノベーションを実現できるよう支援しています。
今すぐお問い合わせいただき、インフラストラクチャソリューションプロジェクトのニーズについてご相談ください。